IoT

【IoTとIoEの違い】デジタル化する世界で待ち受けているものとは?

ビジネス最前線で活躍する方でなくとも、「IoT」という言葉を一度は耳にしたことがあると思います。「Internet of Things:モノのインターネット」といって、これまでネットワークを持つことがなかったモノがインターネットに接続される世界を目指す概念およびその技術です。

例えば、皆さんが飲食店でドリンクを注文した際にグラスの下に敷かれるコースター。これがインターネットに接続されているのを想像できるでしょうか?コースターにはセンサーが内蔵され、グラスを乗せることでセンサーが検知しキッチンへと自動的におかわりの注文を発信する。

もしもこんなコースターがあればスタッフをいちいち呼ぶ必要もなく、気兼ねなく飲食を楽しむことができますね。実はこれ「もしもの話」ではなく、既に製品化されているものです。

これこそがIoTであり、2013年~2014年のバズワードとなったビッグデータに続き、2015年に大注目されたワードでもあります。そして既に新たな概念として生まれているのが「IoE(Internet of Everything)」です。

「全てのインターネット」という意味を持つこの言葉は、一体IoTと何が違うのでしょうか?また、果たしてどんな概念なのか?今回はこのIoEについて解説していきます。

IoEを構成する3つの要素

そもそもIoEとは、世界最大のネットワークコンピューター機器開発メーカーであるシスコシステムスによって提唱され始めた概念です。シスコシステムスでは2012年頃からこのIoEを提唱し始め、IoTを超えた概念(※1)としてIoEの実現を目指していました。

“全てのインターネット”という言葉が示すのは、モノに限定されずまさに全てのものがネットワークを持つ時代を意味します。そしてIoEは以下の3つの要素で構成されています。

※1:2016年に入り「IoEもIoTも言っていることは同じ。大切なのは意味の定義を議論することではく、ビジネスにどう活用していくかが重要だ」とコメントしている。

IoD(Internet of Digital)

「デジタルのインターネット」とはもともとインターネット通信を想定されて作られてきたデジタル機器を指します。つまり、普段利用しているPCやスマートフォンといった機器が該当しますね。

また、ビジネスシーンで言えばサーバや基幹系システムなどもこのIoDに分類されるでしょう。

IoH(Internet of Human)

「ヒトのインターネット」とはデジタル機器やモノだけでなくヒトまでもがインターネットに接続される概念を指します。これは脳内に電子ケーブルを埋め込まれ「マトリックス」のような世界に入り込むというSF的な話ではなく、人がIoDとIoTの間に立ち通信の役割を果たすということです。

それは直接的なデータ入力や間接的な操作など様々な形で関与しますが、ヒトなしでIoEは成り立たないということです。

しかし将来的にはヒトが介入する領域が減少し、デジタル機器とモノだけで通信や制御を行う時代が来ると言われています。

IoT(Internet of Things)

冒頭で既に解説していますが、IoTが目指すところは全てのモノとインターネットが接続されることにより生活の利便性向上とビジネスの変革です。コースターの事例のように、これまで特に意識することのなかった小さなモノでさえ、インターネットに接続すれば何倍もの利便性を生みだします。

先ほどはユーザー目線のメリットを説明しましたが、飲食店側からしても注文を取りに行く必要がないため、業務効率化やコスト削減につながるというメリットがあります。このように、たった一つのものがインターネットに接続されるだけで生活にもビジネスにも大きな影響を生みだすのです。

世界一スマートなIoE先進都市

「IoEが最も進んだ都市と言えば?」という質問があれば、100人中100人がスペイン・バルセロナ市と答えるでしょう。バルセロナ市はそれほどIoEが盛んな都市であり、世界中のビジネスに影響を及ぼしている存在でもあります。

例を挙げると国内でも導入が進んでいる「スマートメーター」や、都市全体を覆うWi-Fiネットワーク網により駐車場の空き状況が可視化できる「スマートパーキング」など、様々なIoEへの取り組みがなされています。また、バルセロナ市役所は市全体の公共データを収集、一元的に管理することでデジタル化された行政サービスを市民に提供しています。

こうした取り組みから、バルセロナ市では今後10年間で4.6兆ドル(約481兆円)の価値を生み出すとされています。バルセロナ市の事例を受けて各国の都市ではIoE化が活発に行われています。

国内ではまだ目立った事例はないものの、今年4月から始まった「電力自由化」は電力会社の切り替えにスマートメーターが必要であり、この観点から考えればIoE化の一環と言えるかもしれません。

IoEで変わるもの

では、IoEが進んだ世界では実際に何が変わっていくのか?

消費者の購買プロセスが変わる

これまでの消費者購買プロセスはPCでインターネットに接続しネットショッピングから商品を購入する(またはサービスを受ける)か、実店舗まで足を運んで購入・利用するかのどちらかでした。これがIoE化が進むにつれIoT製品が多くリリースされ、これまでの購買プロセスが一新されます。

例えば、既に製品化されている「スマート冷蔵庫」ですが、ドアについたタッチパネルから冷蔵庫内の食材を確認し、インターネットから足りない食材を購入することができます。今後はクレジットカード情報とスマート冷蔵庫が紐付けされ、登録した食材は足りなくなると自動的に注文されるといったシステムを構築していくでしょう。

また、外出時はクレジットカードと生体認証が紐付けされた決済方法で、クレジットカードを持つ必要すらなくより安全・快適にショッピングを楽しむことができるようになります。

このように消費者の購買プロセスはさらに多様化し、それに伴い多くのマーケティング手法やビジネスモデルが確立されていきます。

行政サービスが変わる

現在国内において「戸籍謄本」などの書類を取得するには、市役所に足を運ばなくてはなりません。(返信用封筒を使用した郵送もあり)IoE化が進めば誰もがインターネットから必要な書類を申請し、次の日には自宅に届くといったサービスを受けるようになります。

また、スマートメーターの導入が進めば光熱費や水道の使用状況をインターネットで可視化できるようになったり、選挙の際は自宅から投票することができるようになるので全体的な投票率の向上にもつながります。

結果的にバルセロナ市のように大きなコスト削減につながり、都市開発や地方創生が活発化しより利便性の高い国へと成長していきます。

働き方が変わる

既に多くの企業で採用され始めている“リモートワーク”ですが、この恩恵を受けられる職種や人はかなり限定されています例えば工場の生産ラインで働く作業員などは、現場にいるのが当たり前なのでリモートワークは想像していないでしょう。

しかし現在ドイツで推進されている「インダストリー4.0(※2)」のように、工場内がデジタル化されていくにつれ生産ラインの作業員もリモートワークの恩恵を受けられるようになります。

また、オフィス内も様々なモノがインターネットに接続されていくことでより快適な働き方が提供されていくのです。

※2:インダストリー4.0は「第4次産業革命」と呼ばれ、ドイツ政府監視下のもと推進されている向上のデジタル化を指す。工場内の機器同士が相互に通信し合いインターネットに接続することで、生産プロセスを根本的に改善することを目指している。

農業が変わる

「農業がデジタル化?」とビックリするかもしれませんが、実は“スマート農業”といって現在注目を浴びている分野です。農作物の育成に関する作業などを完全にデータ化することで特別な経験やスキルがなくても簡素化されたプロセスで誰もが農業に参入でき、またIT技術の活用で危険な作業などを排除します。

世界でスマート農業が進んでいる国と言えばオランダであり、米国のわずか2,000分の1程度の国土面積しかないにも関わらず農産物輸出額は米国に次いで世界第2位となっています。

このようにIoEは生活やビジネスだけでなく、農業といったこれまでITとは程遠い場所にいた分野さえも変えていくのです。

雇用が生まれる

2000年頃からIoEへの取り組みが始まったバルセロナ市では、スマート都市化により1,500社以上の会社と4,400人分の雇用を生んでいます。「IoEにより人間は仕事がなくなるのでは?」と思われがちですが、実際は新たな雇用を生むケースが多いのです。

まとめ

最後に、IoE実現の要となるのは“多くのモノやヒトから生みだされる膨大な量のデータをいかにリアルタイムで処理していくか?”です。いわゆるビッグデータですが、迅速に処理をしユーザーへフィードバックを行うことで初めてIoEが機能します。

こうしたビッグデータを処理するために重要なのが、大規模データ処理に適したソリューションです。インテリジェント・モデルが提供する大規模バッチ処理「ODIP(オーディップ)」では、膨大な量のデータをスムーズに処理し高い労働生産性を実現しています。

今後IoEへと参入する企業は、こういったデータ処理ソリューションの選定が鍵を握る場面が必ず来るでしょう。

現在IoE化の波は2020年東京オリンピックに向け、さらに大きく加速しています。東京オリンピックが「スマートオリンピック」と呼ばれるのも恐らく時間の問題でしょう。

この波に乗るか乗らないか、今年は多くの企業にとって決断の年になると予測しています。

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