IoT

IoT考察!“売れるサービス”と“売れないサービス”の違い

 

自動車、住宅、家電、インテリア、アクセサリー、公共施設、etc…。IoTという言葉を至るところで目にするようになってから、様々なモノが急激な速度でインターネットと接続(デジタル化)されています。「IoTにより生活に利便性が高まり、ビジネスが加速する」などなど、多くのメリットが語られていますね。

こういった背景から多くの企業がIoT製品市場に参入していくのでしょうが「何でもかんでもインターネットに接続すれば売れるのか?」と考えてみると、絶対的にそのようなことはありません。IoT製品にも“売れるサービス”と”売れないサービス”という、勝ち組と負け組が必ず出てきます。

しかし、現在IoT製品市場にいざ乗り込もうとしている企業の多くは、おそらく“売れないサービス”を作り出してしまうでしょう。

理由は単純で「インターネットに接続されたモノさえ作れば売れる」と考えているからです。つまりIoT自体の意味を少々履き違えてしまっているということ。

数年前に“クラウド”という言葉がバズワードとなったときは、「クラウド化すれば売れる!」という考えのもと参入した多くの企業が市場競争に敗れています。いつの時代でも、ビジネスの節目には同様のことが起きているのですね。

では、IoT製品における“売れるサービス”とは何なのか?

今回考察するのは、今後爆発的な普及を見せるといわれているIoT製品の“売れるサービス”と“売れないサービス”についてです。

「売れないサービスは何か?」を第一に考える

大学生が就職活動でまず最初に行うことは“自己分析”だと言われています。己を知り、理解し、アピールするための武器を見つける。これはきっと、一企業でも同じことが言えますね。

そして大学生は、就職活動における面接で“必ず訊かれる質問”に対し「どう答えるか?」に苦悩します。その“必ず訊かれる質問”とは「あなたの長所、強みとは何ですか?」です。大学生でなくとも面接時には必ずと言っていいほど聞かれる質問なので、記憶にある方も多いのではないでしょうか。

なぜ大学生がこの質問に苦悩するかと言うと「自分の長所を見つけることは、短所を見つけることの数倍難しいから」です。しかし、一つ長所を見つけるポイントがあります。それは、「まず短所を知り、長所に転換すること」です。

前置きが少々長くなりましたが、つまり言いたいのは「ポジティブな面を知るためには、まずネガティブな面を知ること」ということ。

IoT製品の話で言えば「売れるサービスとは何か?」を考えるのではなく、まず「売れないサービスとは何か?」と考えるのです。

いきなり“売れるサービス”について考えると、売り手側の要望や習慣が多分に入り込んでしまうため、結果としてユーザーのニーズを捉えられていないモノを生みだしてしまう可能性があります。一方“売れないサービス”を第一に考えれば、売り手側も客観的に物事を捉えることができ、そこから導き出された結果を起点にユーザーニーズを正確に捉えることができます。

“高性能スーパーカー”と“運転手付き軽自動車”一つ例を挙げてみましょう。

「高性能、高機能、高品質」の3つを兼ね備えているデータ解析ソリューションがあったとします。製品としては実に素晴らしく、おそらく現存するどんなデータ解析をもこなすソリューションです。開発者はきっとこう思うでしょう。「いける。こんなに素晴らしい製品は他にない!データ解析市場を手中に収める日がついに!」と。しかし蓋を開けてみれば惨敗。このソリューションに食いついたのはごく一部のコアなユーザーのみで、市場のほとんどは「使いやすい、わかりやすい、簡単」がコンセプトなソリューションに奪われています。

前者の高品質なソリューションは言わば“高性能スーパーカー“です。そして市場を占領しているのはさしずめ軽自動車といったところでしょう。しかも、運転手付きでユーザーは行き先を告げるだけ。価格ももちろん“運転手つき軽自動車”のほうが低コストであり、どちらが市場に受け入れられるかは明白です。

これは、ユーザーニーズを売り手側の主観で捉え、把握できなかったのが大きな原因です。

IoT製品も同様です。ユーザーニーズをしっかりと捉えきれていなければ、確実に“売れないサービス”として負け組に加盟することになります。

そしてユーザーニーズをしっかりと捉えるためにまず行って欲しいのが、「売れないサービスとは何か?」について考えることなのです。

IoT製品で“売れないサービス”の特徴

IoT製品において“売れないサービス”には、主に2つの特徴が存在します。

インターネットに繋いだだけでユーザーのベネフィットを考えていない

冒頭でも紹介しましたが、現在多くの企業が「インターネットに接続されたモノさえ作れば売れる」という考えを持ちだしています。しかしインターネットに接続すればユーザーは喜ぶか?と言えばそうではありません。

例えば、あるモノをIoT化しインターネットに接続する機能を持たせるとします。ここでは「机」をIoT化すると仮定しましょう。

IoT化された机には多数のセンサーが搭載されており、ユーザーの体格を計測し最適な机の高さをこの上なく最適なものに調節してくれるのです。一見便利そうに見えるこのIoT製品ですが、果たしてユーザーの目に留まり購入されるか?

答えは「No」ですね。理由はシンプル、まったくもってニーズがないからです。

自分にとって最適な高さの机なら、インテリアショップに行って見つけることができます。そのほうがずっと安価でバリエーションも豊富です。あるいはDIYをして自作するといった選択肢もあります。

このように、「インターネットに接続されたモノさえ作れば売れる」という考えからまったくニーズのないIoT製品が市場で多く出回るでしょう。

調査会社であるガートナー社やIDC社、またはシスコシステムスといったソフトウェア会社の見解では、2020年のIoT製品数は250億~500億個に上るとされています。これは2020年の世界人口(予測値)の約7倍の数字です。

しかしこの半数近くが“売れないサービス”として提供されるのではないかと思います。

ユーザーのプライバシーに関わるデータを取得する

IoT製品がユーザーにベネフィットを提供するためには、内臓されたセンサーからデータを取得することが大前提です。取得したデータは主にクラウドサーバ上に蓄積・加工・分析され、ユーザーに最適なフィードバックを提供します。

しかしユーザーからすれば、プライベートに関わる個人情報を取得されているようなものです。特にGPSセンサーで取得する位置情報などはプライバシーを侵害される恐れがあります。

こういったデータを取得するIoT製品はユーザーから敬遠され、“売れないサービス”となってしまう可能性があるのです。

IoTの概念や技術が広く一般的に浸透するようになり、データ活用に関するセキュリティなどが整備されるようになれば別段問題視すべきことではないのでしょうが、IoT黎明期~成長期にかけてはボトルネックとなることが多いでしょう。

売れるIoTは“サービスのモノ化”で捉える

IoTは「Internet of Things」の略であり、直訳すると「モノのインターネット」となります。多くのメディアでそのまま訳されているので「IoT=モノのインターネット」という図式がおそらく皆さんの頭の中にあると思います。

“全てのモノをインターネット化する”というIoTの概念を表現する上では十分ですが、「売れるサービスとは何か?」を考える上ではちょっと視点を変える必要があります。

それは“サービスのモノ化”という視点で捉えるということです。つまり、モノをインターネットに接続するのではなく「サービスをモノとして具現化する」と言い換えることができます。

実はこの考え方は、国内のスタートアップを中心にテクノロジー系のニュース配信を行うメディア「The  Bridge」で紹介されていたものです。こちらではAugost社が提供するIoT製品「Goji Smart Lock」を例に挙げています。

「Goji Smart Lock」はスマートロックと呼ばれるIoT製品であり、電子化されたドアの鍵をスマートフォンアプリで開錠・ロックすることができるサービスを提供しています。もしも、ただ「インターネットに接続された鍵をスマホで開錠したりロックする」という製品なら、前述した“売れないサービス”となっていたことでしょう。

しかし「Goji Smart Lock」ではスマートロックの暗証キーを他人とシェアできるという機能を提供しています。暗号キーを受信したユーザーはスマホをドアに近づけることで鍵が開錠されます。シェア期間を過ぎれば暗号キーは無効になり、不正に開錠されることはありません。

この機能は、自宅の空き部屋や空家を旅行者に提供出来るシェアリングサービス「Arbnb」を意識して作られたものだと想定されています。「Arbnb」では利便性の高いサービスを提供しているものの、“鍵の受け渡し”が最もネックであると言われてるのです。

「Goji Smart Lock」があれば鍵の受け渡しはスマホ間での送受信だけで済むので、この煩雑さから解放されます。Augost社がサービスを起点として製品を開発したかどうかはわかりませんが、結果として“サービスのモノ化”を実現しています。

このように、IoT製品を開発する際は「サービスドリブン(サービスを起点として考えること)」で企画していくことで、ユーザーに受け入れられる製品を生み出すことができるでしょう。

まとめ

いかがでしょうか?本稿がIoT製品を開発する上で、一つのヒントとなったのであれば幸いです。

今後も成長を続けるであろうIoTですが、その意味を直線的に捉えてしまうと大いなる損失に遭う可能性すらあります。売り手側の主観に陥るのではなく、客観的にユーザーニーズを見つめ市場を勝ち抜ける製品を世に送り出していきましょう。

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